飴色の艶
2013.04.24
先週告知しました、4月20日(土)の蚤の市・・・ 雨天により残念ながらオープンバルは中止となりましたが、
足元の悪い中 蚤の市にお越し頂きましたお客様に、この場をお借りしまして心より御礼申し上げます・・・
なお、オープンバルは26日(金)迄開催されているやふですので これからといふ方は是非どうぞ!
さて、ぐんと気温が上がって参りますと 強い日差しに映える明るい色調のお洋服や小物を身に付けたくなるもの
そこで、今宵はこれからの季節にももってこいの オールド・プラスティックジュエリーをご紹介致しませふ
一言でオールドプラスティックと言いましても様々でありまして、代表的なものは以下の通りであります
(一部 Wikipedia等から抜粋致しております)
セルロイド・・・・・ 歴史上最初の人工樹脂であり、1800年代末に象牙の代用品として開発される
植物のセルロースから生成され 加熱(90℃)で軟化し、成形が簡単であることからかつては広く使用されるも、
可燃性の性質があだとなり1950年代に亜米利加から排斥運動が起こり、以降衰退する
ベークライト・・・・・ 世界で初めて植物以外の原料より、人工的に合成されたプラスチック
ベルギー系アメリカ人化学者、レオ・ヘンドリック・ベークランドが1907年に発明、彼の名をとり命名される
合成樹脂の中でも特に耐熱性、難燃性に優れるという特徴を持ち、性能の割に比較的安価である
ルーサイト・・・・・ 1941年にデュポン社(Dupont)が特許を取得
透明で強度のある、着色可能な熱硬化性のアクリル樹脂のこと
以下のやふに、古いバッグの持ち手やストラップにも用いられている お馴染みの素材ですネ

当世で言ふところの所謂「プラスティック」とは、1960年代以降に普及した石油をベースに作られたものを指し、
加工のしやすさや軽さ、丈夫さから 今やありとあらゆるものがプラスティックで作られるやふになりました
では、1960年代以降の合成樹脂とそれ以前のものの 違いと言ったら何ぞや、、と申しますと
オールドプラスティック贔屓の方々が口を揃えて仰るその魅力とは、「鈍い艶のある質感と温かみ」 でありませふ
温かみ、と言いましても 勿論実際にオールドプラスティックに触れてもぽかぽかする訳ではありませんし
ベークライトのやふに濁ったりマーブル状であったりの風合いに近いものは、再現可能であります
けれど、やはり当時ものでないと出せない重厚感や味わい といったものがあるやふにわたくしは思います
前置きが長くなりましたが、ここからはお洋服との組み合わせ実例もあわせ その魅力の一端をご覧頂きませふ・・・

先ずは、プラスティックジュエリーの王道とも言える、チェリーのネックレスであります
チェーン部分は恐らくオールドプラスティックの一種:ガラリット製、瑞々しいチェリーが顔周りを彩ります
プリントレーヨンの常夏ルックから綿のブラウスまで、合わせるだけでなんとも愛くるしい魅力を醸し出しますね

こちらは蝉部分がベークライト製、鈍い飴色がシックなチェリーとのコンビブローチ・・・
夏の強い日差しに恋焦がれる欧州では 蝉は人気のモティーフでして、幅広い年齢層の方に馴染みやすいもの
ボリュームがありますので、地の厚いブラウスやお帽子、秋冬のウール地の羽織などにもどうぞ、、、

同じ蝉でも、小振りで羽に透明感がありますと 何処か儚げで、柔らかく感じられるのが不思議なもの・・・
立体感があり、精巧なつくりですので 虫が苦手、と仰る方は手に取るのも憚られるやもしれませぬ
チョっぴりグロテスクなのも好きなの といった子悪魔的な淑女に 是非ともお勧め致したい逸品であります

こちらは黄色いリング部分がベークライト製、何処となくフルーツバスケットを抽象化したやふなモティーフです
こういった強い色同士の対比の美しさや 抽象的で簡素な趣向も、アール・デコらしさ だと言えませふ
個人的には、アロハ等大柄のプリント地のワンピースやらの胸元につけたら愉しいのではないかしら、と思います

チェリーでも、お花からコロンと下がるチェリーになりますと 一気に愛らしさが前面に出て参りますね
チェックやストライプ柄など、風はらむ爽やかな綿地のお洋服にストローハットで バカンスと参りませふ!

さて、こちらは白魚のやふな美しい手に紅いマニキュアが思わせぶり?な、ブローチであります
かやふな謎めいたモティーフは、ご自分なりに物語性をもたせ 遊び心を存分に発揮して装うと愉しきもの・・・
少々大振りですけれど、御着物の帯留めや バッグにお帽子等に用いれば、道行く人の目をひくこと間違いなし!

さて、ルーサイトをはじめとしたアクリル樹脂の中でも 「プレキシガラス」から作られたものを二点ほどご紹介・・・
こちらは、大戦時の航空機の風防ガラスを再利用し 蘇らせたアクセサリーだと言われております
裏から彫られ、色を流し込んで立体感を出した繊細なお花達からは、戦の気配はもはや感じられません

こちらも同じく、形違いの腕輪であります・・・ 黄色の薔薇にラインストーンが優雅に映えて マア綺麗!
往時は腕輪の重ね付けが流行り、片腕に10個近く賑々しくつけた女性のブロマイドなども稀に拝見しますが、
この品は、どちらかと言いますと 清楚なブラウス等にさりげなくつけるのが宜しいやふに思われます

ここからは、最古のプラスティック:セルロイドの品をご紹介致しませふ、、、
「青~い目をしたお人形は~、亜米利加生まれのセルロイド・・・」の唄でもお馴染み、薄手の儚げな素材です
こちらは型抜きで量産された1930年代頃のもの、決して整った面立ちとは言えませんが愛くるしさに満ちています

最後は、サテンドレスの深い胸元を彩る 豊穣のモティーフ:葡萄のドレスクリップであります
穴の跡が残りがちなブローチに比べ 挟む形状のクリップは、繊細な薄手のお召し物を傷めない優れもの・・・
二つセットのドレスクリップも多く ドレスの胸元の左右対称につけられた時代も御座いました
当世ではその希少性やデザイン性の高さが見直され ベークライトをはじめオールドプラスティックジュエリーは
高値で取引されるものも多くなってきましたが、発売当時はそのほとんどが大量生産された安価なものでした
また、仏蘭西発のアール・デコ文化が亜米利加社会で大きく花開くのと時を同じくし、
大衆文化の象徴としても プラスティック素材は生活の中で欠かせないものとして定着しました
ベークライト素材のラジオやら時計やら・・・ の蒐集家も多く、力強い趣向は男性をも魅了し続けています
まだまだ階級格差もある頃・・・ ましてや本物の貴石など身に付けられるのはほんの一握りである時代において
誰もが手に入れられ ユニイクな趣向で心を愉しくしてくれる 庶民に身近なアクセサリーであったのです
若葉燃ゆる頃、、、、今年もまた お洒落の愉しい 心弾む季節がやって参りました
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