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誰でもないあなた



長年のわたくしの愛蔵書:『チープ・シック』より・・・


1970年代発刊の奇書をご存知でない方、以前の戯れ事をどうぞ →チープシックのススメ


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ニューヨークの画家、リチャード・マーキンの服装哲学をご紹介しましょう。
イギリスの注文服を徹底的に追求している人です。注文服は、注文主とテーラーとの共同作業です。
リチャードの話を聞けば、本物を追うとはどういうことなのか、よくわかります。

「クラシックなものに対してなにかひとつ自分で加えることによって、
それが新しいものに生まれかわるのが私は好きです。
1920年代に服装に気を配っていた男たちは誰もが、ラペルに花をつけてました。
花は完璧に仕上がった美しいものです。美しい花と、よく磨いた靴と。
いまの既製服には、ラペルに穴さえあけてないです。悲しいですね」

「服装に関して人々が表面的にもっとも関心を持っている時代ですね、いまは。
自分の服装を、誰もが人に認めてもらいたがってますが、
自分自身というものがなにものかわかっていないことには、
自分の服装というものは出来上がってこないのです。
私の場合、服を着ると、自分自身が、より鮮明に、より断固たるものになってくるのですよ」


「完璧であるということは、狂気と紙ひとえですからね」

「もっともファッショナブルなのは、ファッションからもっとも遠い人ですね」

「うまく服を着ているということは、ぜんたい的な相関関係がうまくいっている場合ですね。
ポン引きなんかで、ものすごくうまい人がいますが、
彼らは自分の体がどんなふうに見えるのかよく知っているからです」


「シャツとタイを選ぶのは、私にとっては絵を描くのとまったくおなじように大事なことなのです。
人の名前、たとえばデザイナーの名前がついているものなんか、私はぜったいに身につけません。
テーラーの名前ならいいですけど、たとえばイヴ・サンローランが、
私の生い立ちや私のものの考え方と、いったいどんな関係を持ってくれているというのですか」
(1977年初版 『チープ・シック』より一部抜粋)



P1480153_512.jpg
文中のリチャード・マーキン氏・・・ 狂気と紙一重の、彼の哲学に敬意を表し 紫の薔薇を一輪



嗚呼、痛快つうかい!!

『チープ・シック』の文中には イヴ・サンローランへのインタビュウなんかも載せられており

登場人物の語る服装哲学が 総合的には一見矛盾だらけであることが痛快であります


しかし、彼らが語る言葉の根底に流れる信念は 共通しているやふに思えます

「装いとは、自分を表現するためのもの」 それ以上でも以下でもないといふこと、、、、



憧れのすたゐるで生きる人が居たとしても、それは我が胸中でのみしまっておくもの

着こなしのみならず たとえ文章ひとつとっても、完璧に模倣したところでそれはコピーしただけ

付け焼刃のメッキはきらきらと美しいけれど すぐに剥がれ落ちてしまう・・・

失敗して泣いて笑って、自分自身が確立してくると それが自然と装いにあらわれ 生き方となる

一度の人生、周りを見るのに多くの時間を割くより 自分にしか表現できないことを追求したい




「今は洋服を買う気がまったくおこらないのです、、、」 それはそれで結構、

そんなときは、仕事やら趣味やら恋愛やら 夢中になるべき時期なのでせふ


時に装いに迷ったとき、ふと脳裏にわたくし共のことを思い浮かべて頂けたら 幸せです




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福岡に御座います、フランス中心の
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